平屋と二階建どちらを建てるかを悩ます原因は土地の広さ、日当たり、風通しなどいくつか項目がありますが、その中でも判断が以外に付きにくい項目がその価格です。結局の所、平屋は安いのでしょうか?高いのでしょうか?巷では高い、安い様々な情報が飛び交っています。(この記事もその一つですが(笑))。ここではそんなグレーな話に結論をお出しします。
実は家全体の広さで平屋と二階建を比較することは非常にナンセンスな事です。つまり家の広さがおなじ32坪の平屋と二階建ての金額を比較しても意味がありません。何故でしょうか?
例えば4LKDを希望していたとします。
となり実は1階、2階でどちらも階段部分の面積が必要になってきます。大体2坪程度必要になってきます。さらに設計次第では必要な廊下の長さも異なってきます。
つまり正確に価格に比較をしたい場合は同じ4LDKでLDKと各部屋が同じ広さの条件の元で比較する必要があるのです。階段部分を考慮するだけでも35坪の二階建て4LDKと33坪の平屋4LDKを比較すれば良いことになります。
上記で説明をしたとおり、同じ部屋の広さで比較してみましょう。
この間取りのデータ
4LDK 97.5u(29.49坪)
LDK | 16.9畳 |
---|---|
和室 | 5.0畳 |
主寝室 | 8.1畳 |
WIC | 4.2畳 |
子供部屋 | 6.0畳 |
風呂・洗面 | 4.2畳 |
玄関 | 3.0畳 |
廊下 | 3.0畳 |
この間取りのデータ
4LDK 1階57.00u 52.00u 2階 合計109.0u(32.97坪)
LDK | 16.9畳 |
---|---|
和室 | 5.0畳 |
主寝室 | 8.1畳 |
WIC | 4.2畳 |
子供部屋 | 6.0畳 |
風呂・洗面 | 4.2畳 |
玄関 | 3.0畳 |
廊下 | 5.1畳 |
階段 | 3.6畳 |
基本的な間取り構成と広さは一緒ですが、平屋と比較して二階建ての方が【廊下】に当たる面積が多くなり、【階段】も余分に広さを必要としています。
設計次第で多少廊下、階段の広さは変わってきますが、今回はどちらも極力廊下の無い間取りを考えています。結果として平屋の方が11.5u(約3.5坪)も面積が小さく出来ています。
繰り返しますが各部屋同じ広さにも関わらず、3.5坪も小さいのです。この違いを良く理解して平屋と二階建てどちらが本当にコスト的に抑えることができかを検討する必要があるのです。
さて部屋は同じ広さでも全体の床面積で考えれば平屋の方が小さく出来る傾向があることは分かったでしょうが、もちろん価格比較はそれだけではありません。コスト的に占める割合の大きい部分は屋根と基礎、外壁です。
屋根と基礎の大きさは、平屋、二階建て共に1階部分の面積に100%影響を受けるので(ここが不思議に思われる方は、総二階の家は何故安いのか、その合理的な理由を理解するをどうぞ)平屋の方が圧倒的に大きくなります。
先ほどの間取りをベースで考えていくと、平屋の場合は平面的に見ると基礎、屋根共97.5u、二階建ての場合は57uとなり約40uも変わってきます。
※概算ですが、住宅標準工事費は基礎8500円/u 屋根(カラーベスト)3000円/uで計算すると基礎で34万円、屋根12万円程度の差が出ます
外壁を貼る範囲は【外壁の高さ×外周長】で算出されます。簡易的に平屋の外壁高さを2.5m、二階建ての外壁高さを5.3mと仮定すると
平屋は外周長さ41m
2.5m×41m=102.5u
二階建ては
2.5m×33m+2.8m×29m=163.7u
となるのです。つまり外壁では約61uも二階建ての方が面積が広くなっているのです。外壁に関して言えば二階建ての方が圧倒的にコスト高になるのです。
※こちらも概算ですが、住宅標準工事費で外壁がサイディングという一般的な仕上げですと 外装工事5000円/u とすると約30万程度の差が出ることになります。また二階建ての場合は階段が必要になるので階段設置に10万〜15万程度は必要になります。
つまり平屋の場合は屋根の仕様(瓦にするのか、カラーベストにするのか等)にコストが大きく影響を受け、二階建ての場合は外壁の仕様(サイディングにするか、塗り壁にするか等)に大きく影響を受けるのです。
これを踏まえた上で平屋が高くなるのか、安くなるのかを判断するとより正確な情報がつかめます。仕様が同じ条件であれば平屋は基礎、屋根でおおむね46万程度二階建てより高い。二階建ては外壁と階段でおおむね40万〜45万程度高いとなるのです。
この辺りは一般ユーザーには特に分かりにくい内容ですが、もし補強が必要な地盤の強さであれば、平屋の方がコストが高くなる傾向にあります。
それは基礎面積が大きい平屋の方が、必要とされる杭の本数、改良する範囲などが大きくなってしまう為です。上記の間取り図を参考にすると平屋の方が二階建てよりも約1.7倍基礎面積が大きいのです。
単純に二階建ての補強金額の1.7倍にはなりませんが、それに近い金額になって来ます。私の業務上の感覚ですが、もし二階建てで100万の地盤補強が必要であれば、平屋にした場合150万程度は必要になってきます。
地盤が弱かった場合は平屋はかなり割高になる可能性があることを知っておくべきですね。どうしても判断に困った場合は、間取りを決める前に地盤調査をお願いしましょう。地盤が強かったら平屋で進めるなどの判断をしても良いかもしれません。
会社によって見積もりの出し方、最終的に補強が必要かどうかの判断は変わってくるのですが一般論として知識を持っておけば平屋にするか、二階建てにするかの判断がつきやすくなるります。
同じ部屋の広さの(家全体の広さでは無いことに注意!)平屋と二階建てではコストが掛かる部分が違う事はおわかりいただけたでしょうか?つまり屋根や、外壁に使う仕様次第で全く変わってしまうのです。
もし打ち合わせ中の工務店、ハウスメーカーが決まっており、平屋か二階建てかで迷われている場合はこの記事記載の間取りを使っていただいてかまいませんので、どちらが安くなるか見積もりを出して貰って判断しましょう。
結局平屋と二階建てどちらが安いかというテーマはの答えは、各部屋の広さが同等、仕様が同等、地盤補強が無、この条件の元であれば価格は大差なし!!と言うのが結論です。